デカフェ(カフェインレスコーヒー)の方式いろいろ

普通のコーヒー豆とデカフェ(カフェインレス)コーヒー豆

普通のコーヒー豆とデカフェ(カフェインレス)コーヒー豆

デカフェ関連の投稿が続いてますが、これで一段落の予定です。

今回はデカフェのカフェインを抜く方式についてです。

カフェインを元から持たない品種の開発も行われていますが、ほとんどのカフェインレスコーヒー(デカフェ)は、生豆の状態でカフェインを人為的に抜いています。

通常この処理は海外で行われ、日本には脱カフェイン済みの生豆が届きます。

当店のような焙煎業者はそれを焙煎するだけです。

脱カフェイン処理といっても、いくつかの方式がありますので、簡単にまとめてみます。

いずれもカフェインだけを除去し、他の成分は極力元に近い状態で残す事を目指しています。

1. 溶剤を使った方式

酢酸エチルなどの薬品を使ってカフェインを抜く方法です。

生豆から直接抜く方法と、生豆から水溶性成分(カフェインを含む)を抽出した水溶液からカフェインを抜いて、残った成分を生豆に戻す方法があります。

人体に害が無いとされる範囲とは言え薬品を使うため、健康面での影響が懸念される事がある方法です。

一般的に脱カフェインの方式を明記せず、単にデカフェやカフェインレスとだけ書かれたコーヒー豆はこの方式であることが多いそうです。

2. マウンテンウォーター(スイスウォーター)方式

当店で取扱中のデカフェ グアテマラ マウンテンウォーターで採用している方式ですので、マウンテンウォーターを先に書きましたが、先行はスイスウォーターのほうです。

細かい違いはあると思いますが、どちらも大体は以下のような流れで処理されます。

(1) 生豆からカフェインを含む水溶性成分を水に抽出する

(2) (1) の液体を活性炭フィルターにかけてカフェインを除去することで、カフェイン以外の水溶性成分は飽和したカフェインレスの液体ができる。

(3) 新しい生豆に対し、(2)の液体を使ってカフェイン除去する。カフェイン以外の水溶性成分は飽和状態なので、カフェインだけが生豆から除去される。

以降は(2),(3) の繰り返し。

薬品を使用しないので安心な方法とされています。

デカフェ マウンテンウォータープロセス

3. 液体CO2を使った方式

3つの中で最も新しい方式です。

コーヒーを水に浸し、液体CO2を高圧で押し込んでカフェインだけを取り除く方式です。
液体CO2が溶剤の役割をし、カフェインが取除かれ、カフェインよりサイズが大きい成分は残ります。

これも薬品を使用しないので安心と考えられています。

【終わりに】

大きく3つの方法を紹介しましたが、いずれの方法も普通の生豆には無い、特殊な処理を経るので、外観も風味も単にカフェインが無くなった以上の差があるように感じます。

と書くと、「なんか不味そう」と思われてしまうかもしれませんね(;´∀`)

でも、すっきり飲みやすいということで、カフェイン採って平気なのにリピートされている方もいらっしゃいますよ。

他のコーヒー豆同様に試飲できますので、興味ありましたら、お気軽にお試しください( ´∀`)_c□~

デカフェ(カフェインレス)のコーヒー豆が黒光りしてるのは何故?

デカフェ(カフェインレスコーヒー)の焙煎豆

デカフェ(カフェインレスコーヒー)の焙煎豆

またまたデカフェ関連です。

初めて扱うものなので、いろいろとお伝えしたいことがあるのです。

興味ある方はおつきあいください。

提供開始したデカフェ グアテマラ マウンテンウォーターの(上の写真右)焙煎度はシティ・ローストです。

一方でルワンダ スカイヒル(上の写真左)の焙煎度もシティローストです。

焙煎度が同じなのにずいぶんと見た目が違うのがわかると思います。

デカフェのほうが色が暗くテカってて、「より深く焙煎してるんじゃないの?」と思われかもしれません。

でも、うち的には同じ焙煎度なんです。

うちは、基本的な考えとして、「同じように加熱して同じ温度まで焙煎したら、色に少し差があっても、それらは同じ焙煎度」というのがあります。

今回のデカフェも同様なんですが、差が “少し” じゃなく見えると思いますので、フォローすることにしました。

1. デカフェのほうが色が暗い理由

これは、焙煎する前の生豆時点で、既に色が違っているんです。

カフェイン除去の方法にもよりますが、概ね、デカフェの生豆は普通のより黒ずんでいます。

下のスカイヒル(写真左)と並べた写真を見ると明らかです。

焙煎が進むにつれ差が縮まりますが、シティローストぐらいでは色の違いは無くなりません。

デカフェ(カフェインレスコーヒー)の生豆

2. デカフェのほうがテカってる理由

テカリの原因はコーヒーオイルが焙煎によって生じたコーヒー豆の亀裂からにじみ出てくることによります。

コーヒー豆を焙煎するとパチパチと音がしてハゼます。

このハゼは通常2回あり、2回目のハゼで上記の亀裂が多く生じ、焙煎後のテカリにつながります。

うちのシティローストでは、まだ2回目のハゼはほとんど起きていないので、あまりテカりません。

しかし、デカフェの場合は、カフェインを抜く過程で豆が脆くなっているので、シティローストでもオイルが滲み出て来てテカるわけです。

まとめ

以上のようなことから、見た目は焙煎度がフルシティローストぐらいに見えますが、味はちゃんとシティロースト相応の味をしていると思います。

見た目に騙されず、味わってみてください( ´∀`)_c□~

デカフェ(カフェインレスコーヒー)を30gからにした理由

デカフェ(カフェインレスコーヒー) グアテマラ マウンテンウォーター

デカフェ(カフェインレスコーヒー) グアテマラ マウンテンウォーター

昨日から提供開始しましたデカフェ(カフェインレスコーヒー)のグアテマラ マウンテンウォーターですが、「豆のまま」の場合、最小で30gからお買い求めいただけるようにしています。

※他のコーヒー豆は100gからです。

これは、お客さんの話を聞く中で、デカフェのニーズもいろいろあって、それらに柔軟に対応したいと思ったからです。

1. 毎日飲みたいニーズ

「ご出産前後はカフェイン摂取を控えたい」とか、「就寝前に飲むコーヒーはデカフェがいい」というのが、よく聞くニーズです。

これらのニーズに対しては、他のコーヒー豆同様に100g単位の提供で問題ないと思っています。

1日1杯でも1週間で無くなりますからね。

2. その場しのぎのニーズ

ただ、以下のようなケースもあります。

「マラソン中にトイレに行きたくない」

「大事な試験中にトイレのために席を立ちたくない」

前の投稿でも紹介したブルーバックの「コーヒーの科学」によると、コーヒーを飲んだときの作用は急性作用と長期作用に大別されます。

カフェインによる利尿作用は前者で、飲んだ日のうちには効果が消えます。

このことから、カフェイン摂取を控えるのはマラソンや試験の前夜からで十分で、デカフェに置き換えるなら前夜と当日朝のコーヒー2杯でしょう。

普通のコーヒーカップ2杯分なら30gで足りますので、デカフェの最小で30gから提供可としました。

いかがでしょうか?

100gよりちょっと割高にになりますが、よろしければご活用ください。

マラソン前でもコーヒーを ( ´∀`)_c□~

コーヒー前の微粉を取り除くのに使う茶こしのスペック

茶こしでコーヒー豆の微粉を除去

茶こしでコーヒー豆の微粉を除去

以前に「挽いたコーヒー豆から茶こしを使って微粉を取り除くと美味しくなりますよ」という話をしました。

今日は、その補足で、茶こしはどういったものを選ぶと使い勝手いいかという事についてです。

【網目】

網目が大きいと、取り除かれる粉が増えます。

逆に細かすぎると微粉すら落ちなくなります。

網目の細かさは一般的には「メッシュ」で判断します。

メッシュは1インチ(25.4mm)当たりの網目の数です。

ここで「網目の数がわかっても、網目の大きさはわからんのでは?」と思われませんでしたか?

そのとおりで、正確にはメッシュが同じでも線の太さによって、網目の大きさは変わります。

でも、商品説明を見ても、網目のサイズは記載されていないことが多いので、メッシュを目安に判断することになります。

100均に売られているような一般的な茶こしのメッシュはだいたい40ぐらいです。

個人的には40はちょっと粗いかなと思います。

実際に挽いたコーヒー豆をふるってみると、延々と粉が落ち続けて、止め時が難しく思います。

俺が使っているものはメッシュ60のものです。

40と比べると網目は細かくなるので、落ちる粉が減りますが、ハンパな俺にはちょうどいい感じです Σ(´∀`;)

一応、下に amazon の写真リンクを貼りますが、まず一般的なのを使ってみてから、もっと細かいのに変えるかを検討すればいいんじゃないかと思います。

【サイズ】

これは円の内径が最低でも80mm以上はあったほうが、粉をこぼさずに振りやすいです。

誰かをおもてなししたい時、気が向いた時の自分用にと、俺はたまにしか使ってませんが、ご参考までに。

今日も美味しいコーヒーを淹れて、素敵なコーヒータイムをお過ごしください ( ´∀`)つc□~

「コーヒーの甘さ」についてのアップデート

最近読んだブルーバックス本「コーヒーの科学」

昨年発売された本なんですが、そろそろ発売から1年になりますので、読まれた方も多いのではないでしょうか?

滋賀医科大学の講師である科学者の旦部先生が、科学の切り口でコーヒーを解説する内容で、とても面白いです。

当店では、お客様から質問をいただいた際は、なるべく信頼できるソースから得た、新しい情報をお伝えするようにしています。

しかし、まだまだ解明されていないことも多く、今まで正しいと思われていたことが、新しい研究によって、古い見識となっていくことがあります。

今回は、コーヒーの甘さについて、俺がこれまで認識していた内容とだいぶ差異が出てましたので、アップデート情報として書くことにします。

中煎りまでのコーヒーの甘さと、深煎りのコーヒーの甘さが別物というのは、これまで同様ですが、それらの由来は以下のように考えられるそうです。

1. 中煎りまでのコーヒーの甘さ

(これまでの当店の認識)

成分の1つであるクロロゲン酸に味覚修飾物質としての一面があり、その影響で甘く感じる。
※味覚修飾物質は味覚を変化させる物質のことです。ミラクルフルーツが有名ですね!

(コーヒーの科学の説明)

フラノン類による香りから来る甘さ

※香りから来る甘さなので、鼻をつまめば甘くなくなるそうです。面白いですね!

2. 深煎りのコーヒーの甘さ

(これまでの当店の認識)

コーヒーの成分の多くを占める、多糖類から来る甘さ

(コーヒーの科学の説明)

正体不明 (^_^;)

※先述のフラノン類も深煎りではほとんど無くなるそうです。

まあ、別にこんな事は知らなくても、コーヒーは美味しく飲めるのですが、男性のお客様を中心に、興味があるかたもいらっしゃるので書いてみました。

そういうかたに、「コーヒーの科学」はうってつけだと思いますので、コーヒー飲みながら読んでみてくださいね( ´∀`)つc□~

コーヒー豆は未開封なら常温保存でいい?

リニューアルしたジップロック コンテナー

リニューアルしたジップロック コンテナー2月に入りましたが、まだ寒い日が続きますね。
でも、それはコーヒーが美味しい季節ということでもあります( ´∀`)

コーヒー豆は袋が未開封なら常温で保存しておいても大丈夫と思われているかたが結構多いです。

これはスーパー、コンビニ、大手コーヒーショップなどで、袋や缶に入ったコーヒー豆が常温で販売されているからのようです。

でも、これは同じ未開封でもその中の状態によって変わってくるんです。

【当店の場合】

当店ではコーヒー豆を保存する場合、豆のままなら1週間で飲みきれない分、挽いた粉の状態なら全てを冷凍することをオススメしています。

焙煎後のコーヒー豆は酸素と反応して劣化が進みます。

いくら袋を密封して外からの酸素の侵入を防いでも、袋の中に酸素が入っているので止めれません。

粉に挽いた場合は特に劣化が速くなりますので、上記のようにお伝えしています。

【スーパーや大手コーヒーチェーンなどの場合】

スーパーなどでは豆でも粉でも、焙煎してから結構な日にちがたっているのに、常温で販売されています。

これらのコーヒー豆は、通常、外からガスが入らない袋を使っていて、さらに袋の中の酸素を窒素に置き換えるなどして無くした状態で密封しています。

そのため、「最初に開けるまでは常温でいいだろう」という考えなんですね。

【まとめ】

以上のように、同じ未開封でも保存状態は変わってきます。

当店の場合、窒素置換のような事を頑張ったところで、それは最初に開封するまでの効果にすぎないので、そこにコストをかけるより、新鮮なコーヒー豆をリーズナブルに提供していく方針をとっています。

そういうわけで、ご購入いただいた豆は早く開封して使っていただく、すぐに使用しない分は密閉容器に入れて冷凍というのをオススメしています。

ご購入後のコーヒー豆の劣化はお茶などに比べ速いので、なるべく鮮度の良いうちに楽しんでください ( ´∀`)つc□~

コーヒー with エリスリトール

コーヒーにエリスリトール

今日はカロリーや糖質の摂取量を抑えたい人の間で、砂糖の代替品として人気のあるエリスリトールとコーヒーの組み合わせを試してみました。

エリスリトールは天然由来の糖アルコールなので、人工甘味料などと比べて一般的に安全視されているようです。

今回取り寄せたこの商品はトウモロコシ由来とのことです。

コーヒーにエリスリトール

砂糖の75%の甘さとあったので、同量のコーヒー2つに、それぞれグラニュー糖4gとエリスリトール3gを入れて比べてみました。

エリストールを入れたほうは甘さは弱く酸味は強かったので、4gではまだ同等とは言えないようです。

香りには特に影響を及ぼさないので、精製された白い砂糖と同様に、単に甘くすることができます。

コーヒー豆屋としてはブラックでそのままの味を楽しんでいただきたい思いはありますが、インスタントコーヒーや酸味がエグいコーヒーなど、「そのまま飲むのは苦行だ。でも糖質は摂りたくない。」みたいなケースでは使えるのではないかと思います。

この種のカタカナ系甘味料を嫌う人もいれば、砂糖のほうを嫌う人もいて、ホントに人それぞれですよね。

うちは、オーガニック表記の問題で販売中止したココナツシュガーが大量にあるので、それが無くなる頃に、次は何にするか検討しようと思います。

何年先になるだろか(^_^;)