【Devil’s Share とは】
コーヒー豆は焙煎すると重量が目減ります。
これは生豆にくっついている薄皮(チャフとよびます)がはがれたり、水分がとんだりすることによるものです。
ウイスキーでは樽で熟成している間に生じる目減りを Angel’s Share (天使のわけまえ) と言うそうです。
なんだか、可愛いですね (^^)
でも、天使は樽の中にいても、灼熱の焙煎機の中には残念ながらいなさそうです。
コーヒーは1600年ごろにアラビア半島からヨーロッパに伝わりましたが、当初ヨーロッパではイスラムの国からやってきた黒い飲み物のことを、「悪魔の飲み物」と怖がる人もいたそうです。
そこで、焙煎中に生じるコーヒー豆の目減りは、Devil’s Share (悪魔のわけまえ) と呼ぶのがいいと思いました。
【Devil’s Share は重要?】
さて、そんな前置きはともかくとして、この Devil’s Share を当店は重要視していまして、焙煎する度に記録を残すようにしています。
前回と同じように焙煎できたかを考察する上で、色や膨らみといった外観は最初に着目しますが、その次に焙煎による目減り率(焙煎前後の重量比率)も重要と考えています。
だいたいどれぐらいかというと、当店で最も深いイタリアンローストなら焙煎前の80%ぐらいに、最も浅いミディアムローストでも87%ぐらいに減ります。
例えば目減り率が前回85%だったのが今回84%と1%も違っていれば、たとえ外見が同じに見えても、その中身はかなり差異のあるものになってしまっていると考えられます。
なので、この目減り率をモニタリングすることは有用で、今後も継続していくことで、焙煎豆の品質安定化に役立てていきたいと思っています。
【余談】
かつてアメリカで浅煎りのコーヒーが流行した理由として、ボストン茶会事件で紅茶と決別しコーヒーを飲むようになったが、紅茶への想いを捨てきれず、色が紅茶に近い浅煎りのコーヒーを飲んだという未練がましいストーリーをよく目にします。
しかし、もうひとつの理由として、浅煎りだと目減りが少ないので、焙煎業者側としては原価低減できてお得だったということが一因だったとも言われています。