コーヒー豆あります

当店の悩み事として、コーヒー豆屋と認識していただけない (^^;) というのがあります。
初めてのお客様に、ベーグル屋やカフェと思われてしまうことが多々あります。

入口を入って正面にベーグルが並んでいて、コーヒー豆はその右になります。
ただでさえ「人の視線は左に偏り右側には目が行きにくい」という特性があるのに、コーヒー豆は小瓶で展示しているだけなので、コーヒー豆を売っていると認知されにくいのも当然です。

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しかし、コーヒー豆を小瓶で展示しているのにはワケがあります。

それは、焙煎豆は水分や酸素の影響以外に、光や温度によっても変質(品質劣化)することが報告されているからです。

油脂分の酸化変質の指標の1つであるPOV(過酸化物価)に対する光の影響は大きく、1ヶ月の蛍光灯下で保存した場合、暗所で保存した場合の2倍弱になるとの報告があります。

また、温度については、おおまかに10℃上がると変質は2倍速くなると言われています。

これらをふまえると、焙煎後のコーヒー豆は、日光やシーリングライトの照射は極力さけて保管したほうがベターということになります。
水分や酸素の影響と比べると小さいものかもしれませんが、善処するにこしたことはありません。そこで、当店ではサンプル用として数十グラムだけを小瓶に入れて棚に展示し、残りの販売用は扉のついたキャビネットに収納するという形をとっています。

品質保持の面ではメリットがあるのですが、デメリットはコーヒー豆屋とわかってもらいにくいことです。

販促の面では、大きなガラス瓶や樽にコーヒー豆をあふれんばかりに入れて、大いに「コーヒー豆ありますよ!」とアピールするのが良いのでしょうが、それで品質を犠牲にするのはいただけないと思います。当面はこのままのスタイルで続けたいと思います。

「コーヒー豆あります」ので、よろしくお願いします。

ナチュラルの特徴

お待たせしました。SOLD OUT になっていました珈琲豆ペーパーウェイトが入荷しました。
今回はナチュラルもあります!

珈琲豆ペーパーウェイト

どれかナチュラルかわかりますか?

正解は手前右です。

他の2つと違う点があるのですが、何でしょうか?

それはセンターカット(豆中央を縦断する線)が黒っぽく見えることです。これがナチュラルの焙煎豆を見分ける特徴となります。

黒っぽく見える理由について、「ウォッシュトはセンターカットにあるシルバースキンが残るが、ナチュラルの場合はそれが焼けて無くなってしまうため」という説明を見ることがあるのですが、これはどうなんでしょうか。

焙煎後のナチュラルの豆とにらめっこしてると、シルバースキンが焼けてなくなっているのでは無く、シルバースキンが褐色化した状態で残っていて、それが黒っぽく見えているのがわかります。

ナチュラル方式では、果肉やミューシレージ(ネバネバしたヌメリ)がついたままの状態で乾燥され、そのまま脱殻されます。
そのため、ショ糖など褐色化反応の元になる成分が、センターカット部分のシルバースキンに染みこんでいて、精製後も残っていると思われます。
それゆえ、焙煎するとメイラード反応等によって褐色化し、その結果、焙煎豆のセンターカットが黒っぽく見えるんじゃないかなと思います。

「思われます」「思います」ばかりですね。すみません。(^^;)

それはさておき、お時間のある時でしたら、粉に挽く前に、少しの間、焙煎豆を見つめてみてはいかがでしょうか。
お選びになったコーヒー豆によって、特徴があって、面白いと思いますよ。

あ、ペーパーウェイトよろしくお願いします!

コーヒーは連携プレー(役割分担)でいきましょう

コーヒー業界団体脱退で騒がれているネスレさんですが、海外ではこんな素敵な写真をアップしてくれました。

焙煎後のコーヒー豆(粉)

何だかわかりますか?

焙煎したコーヒー豆を挽いた粉の拡大写真です。焙煎後のコーヒー豆はこのような多孔質のハニカム構造になっています。
よく見れば、空洞の壁に褐色のコーヒーの成分らしきものがくっついているのが見てとれると思います。

生豆を加熱することで、化学反応によってコーヒーの成分をつくり、それを繊維質が破壊されてできたハニカム構造の部屋の壁に浮き立たせるところまでが、当店のタスク

壁にくっついたコーヒーの成分をお湯に溶かしだすのは、みなさまのタスクです。

連携プレーでお気に入りの一杯につなげていきましょう。

イワキウォータードリップサーバのガラス部分の代替品を見つけました

そろそろシーズンオフに入ろうとしているイワキウォータドリップサーバーですが、ガラス容器を割ってしまった人のため代替品をやっとこさ見つけました!

そんな人いねーよ、と言われそうですが、うちのお客様に2人もいらっしゃるんです。(^^;)
純正品はパーツ単位では取り寄せできないので、一式買い直しになるんですよね。DURALEXのような強化ガラスにしてくれればいいのにと思うのは自分だけでしょうか?

サイズを測れば直径が9cmから11cmの間で, 高さ16cm以上の円柱形の容器があればなんとかなりそうなことはわかるんですが、これを満たす適当な代替品を見つけれずにいたんです。

やっと見つけたのはこちら。ダイソーの水差し(COLOR LIFE)です。

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深さが浅すぎるとドリップされたコーヒーに粉が浸かってしまうんですが、これは、ほら、ちょうどいい感じでしょ。

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これで、本体ごと買い替えなくても、末永く活躍してくれること間違い無しですね!

一点、ガラスと違って軽いので、こかさないように気をつけて下さい。

ちなみに、三宮では阪急オアシスの店舗では無く、スポワの上の店舗まで行かないと置いて無さそうでした。(2014年9月中旬時点)

P.S.  最近「スポワ」じゃ通じないんでしょうか?昔はスポーツワールドを略してスポワって言ってたもんですが。

コーヒーの粉に湯をかけても膨らまないのはなぜ?

今日は昨日のコーヒーセッションでお問い合わせいただいた内容をシェアすることにしました。

Q.
「ペーパードリップで粉にお湯をかけても(今日やった時みたいに)膨らまないのはなぜでしょうか?」

A.
まず膨らむ仕組みを説明させていただきます。
焙煎後のコーヒー豆はハニカム構造といって蜂の巣のような空洞だらけの多孔質の構造になっています。
0.01mmぐらいの小さな空洞なので、コーヒー豆を挽いて粉にしても1つの粉に数百個の空洞が残ります。
この小さな部屋に焙煎によって発生する炭酸ガスがたまります。
ペーパードリップで湯をかけると、湯がこの空洞に入り、先客の炭酸ガスは押し出されて上がってきます。これによって、粉面が押しあげられて膨らみます。

では、「膨らまない」のはどういう時か。
以下の3つが考えられます。

(1)焙煎後かなり時間がたって鮮度が落ちているコーヒーで、炭酸ガスを放出し切っている
(2)浅煎りのため、空洞がまだ十分形成されていない上、炭酸ガスの発生も少ない
(3)極細挽きで、空砲がほとんど破壊されて無くなってしまっている (この場合は、膨らまない以前に、湯が浸透せずに粉の上を流れてしまうこともあります)

ほとんどの場合は(1)に該当していると思います。

なお、この膨らみはペーパードリップによる透過法では無くてはならないものです。透過法はこの膨らみによって形成された透過層(※)に湯を繰り返し通過させることで、コーヒーの成分を湯に溶かし出す仕組みだからです。
膨らまなかったり、逆に陥没して減っこんだりするような状況では、透過法のロジックが破綻してしまいます。
透過層

「うちはドリップで淹れないから膨らまなくても平気?」
そうでもないです。たしかに、膨らまないこと自体はフレンチプレス、エスプレッソといった抽出方法には悪影響は無いかもしれません。しかし、膨らまないということは炭酸ガスと一緒に香りも抜けてしまっていることになります。
さらに、そのような鮮度の悪いコーヒー豆なら、既に酸敗して味が変わってしまっていたり、酸化臭を発してしまっていることも往々にしてあります。

ドリップ(透過法)で淹れるかたも、そうでないかたも、お湯をかけた時に膨らむかどうかは、そのコーヒー豆が賞味期限内かどうかを判断する目安となります。

いかがでしたでしょうか。
今後も、問い合わせをいただくことが多い事柄については、シェアしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

※透過層・・・これまで濾過層と言ってましたが、透過層に呼び方を改めました。数年前に読んだコーヒー本での名称「濾過層」をこれまで使っていたわけですが、考えてみると濾過しているのはペーパーフィルタのほうであって粉の層では無いので改めました。前々回以前にご参加いただいたかたには混乱を招く変更で申し訳ございません。指しているものは同じです。

コーヒーの品種

今回はコーヒー豆の基本情報に記載している事項の中で、まだ説明してなかった品種についてとりあげます。

コーヒーにもワインのぶどう品種や野菜のように品種があります。
店主はワインは飲みませんが、聞くところによると、ワインは品種特有の香気が強く、飲めばその品種が何かわかるらしいですね。
野菜も、最近読んだ農業本「キレイゴトぬきの農業論」によると、「旬、品種、鮮度」が美味しい野菜の3条件だそうです。
いずれも品種が重要なファクターであることがわかります。
これらに対して、コーヒーは品種による個性が香味表れにくいのが特徴となっています。

同じ品種でも、気候や土壌の違いによって、チェリーの種は違うものになるでしょうし、何より収穫してからの「チェリー→生豆」、「生豆→焙煎豆」のプロセスのほうが、香味に与える影響が大きいのです。乱暴に言うと「獲ってからが勝負」なのがコーヒーなんですね。

実際のところ、アラビカ種のコーヒーを飲んで、その品種がアラビカの中の何かを言い当てるのは、ほとんど不可能ではないかと思います。

そういうわけで、品種でコーヒーを選ぶのはあまりオススメはしておりませんが、各コーヒー豆の基本情報としては、把握できる範囲で提供させていただいております。

コーヒーの3原種と呼ばれるのが、アラビカ種、カネフォラ種、リベリカ種です。リベリカ種は現在では生産量が少なく僅かとなっています。またカネフォラ種はコストコントロールのためにインスタントコーヒーや缶コーヒーに「混ぜ物」としてよく使われる品種です。
当店のような自家焙煎のコーヒー豆屋では一般にアラビカ種のみを扱います。

さて、そのアラビカ種の系統について、当店で提供しているコーヒーに関係する部分を中心に、簡単な品種のツリー図を作って、現在提供中のコーヒー豆をマッピングしてみました。
(といっても、今のラインナップで品種が限定されているのは3つだけです。)
コーヒー品種ツリー (アラビカ)
(図をクリックすると原寸図のあるページに遷移します。)

アラビカ種には大きくティピカ種とブルボン種から派生するグループがあります。
(ゲイシャなどどちらでもないものもあります。)
ペルー モンターニャベロニカはティピカ、グェテマラ ラ・アゾテアはブルボン、ウガンダ ムバレ は SL28というブルボンの子孫の品種です。
大まかな特徴として、ティピカ系はさっぱり甘味だとか、ブルボン系は濃厚なボディ酸味とか言われることが多いです。
でも何度も言っておりますように、これらの味は焙煎によって作られる割合のほうが大きいので、あまり品種にこだわり過ぎることなく、コーヒーを選んでいただいたほうがいいと思います。

神戸ウォーターを無駄なく汲むための3つのポイント

当店では2種類の水を使い分けていまして、コーヒー用には水道水を浄水したものを使い、ベーグル用には神戸ウォーターを使っています。

一般にパンに使う水は中硬水(硬度100程度)が適しているといわれています。軟らかい水だと生地がべたついてしまい、逆に硬度が高過ぎるとグルテンが強くなりすぎるため、中硬水ぐらいがちょうどいいでしょう、というのが理由です。

神戸ウォーターはまさにその中硬水(硬度113)で、パンに適した水といえるとは思います。
ただ、正直なところ、あまり中硬水にこだわる必要は無いと感じています。
中硬水であることに加え、水汲み場が家から至近なこと、コストが安価であることなどもあったので、今のところは神戸ウォーターを使い続けている状況です。

コーヒー用には別の水を使っているのは抽出力の違いのためです。一般に、水の硬度が高くなると抽出力は弱くなり、コーヒーの成分は出にくくなります。神戸 ウォーターは硬度100程度なので、軟水との違いをそれほど気にする必要はないかもしれませんが、敢えてコーヒーに使うことも無いのでコーヒーは軟水(水道水)を使っています。

さて、またしても前置きが長くなりました。
これだけしょっちゅう神戸ウォーターを汲んでいると、無駄を減らし少しでも多くの水を得るコツが嫌でも身についてきます。
今回はそれを「神戸ウォーターを無駄なく汲むための3つのポイント」としてシェアすることにしました。

(1) 給水する蛇口は、山幹南側にある水汲み場の西側の蛇口を選ぶ

神戸ウォーターの給水は100円で2分間です。汲んだ量には関係ないので、流量が多いの (勢い良く出るの) を選んだほうがお得です。

(2) 蛇口を全開にしてからコインを投入する

上記と同じ理由です。逆に100円玉を投入してから蛇口を全開にする場合、流量がゼロから最大に到達するまでの間にロスが生じます。

(3) 容器の交換は、蛇口全開のまま行なう

容器を入れ替えるときは蛇口全開で

これも同じ理由です。わざわざ水を一旦止めて、容器を変えて、また水を出してみたいなことをやると、損失がだいぶ出ます。

以上3点ですが、全てやるのと、全てやらないのとでは、数リットルレベルの差が出てくると思います。機会がありましたら、お試し下さい。
美味しい水で、残暑を乗り切りましょう!